AIというポケモンを肩に乗せて生きる未来がやってくる

AI=ポケモン AIはツールじゃなくてパートナー

AIというポケモンを肩に乗せて生きる未来がやってくる

AI=ポケモン AIはツールじゃなくてパートナー

「現在のAIはすでに人間の知性を超えている」

2年ほど前だったでしょうか。セミナーの資料として、AIと人間社会の未来を捉えた素晴らしい本、『Scary Smart』を読みました。この本を書いたのは、GoogleでAI開発に携わっていたMo Gawdatという人です。AIが人間の知性をいずれ凌駕する、私たちはAIが人間の知性を超える寸前にいる。人間がその事実を受け入れ、社会のあらゆる側面が再発明される時間枠について、5〜10年と予測していました。

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この本が出版されたのが2021年。
のちのインタビューで彼は、

「2023年のChatGPTリリース以降、AIは劇的に進化している」

「現在のAIはすでに自分より知的である」と断言していました。

ChatGPTを仕事で最大限活用、文書のサマリーを作成の精度をどう上げるか、最適化させるかなど”仕事効率化のツール”として捉えていた私の認識を、この言葉が大きく変えました。

ああ、こうして対面しているAIは私よりずっと賢いし、ものすごい知識量も有しているんだな、と。

それ以来、AIと自分との関係性がガラリと変わりました。

記憶喪失の超人が、うちの会社にやってきた

ChatGPTを道具として使うモードから、どうやったら仕事のパートナーとして一緒に仕事ができるかという発想に切り替わりました。

私にはこんなふうに見えてきました。

無尽蔵の世界中の知識を持つAIという人物(うちの会社の新しい社員)。でも重度の記憶喪失で、自分が誰でどこにいて、今どんな人の前にいるのかもわからない。目の前の人に気さくに返答はできるけれど、どんな役割を求められて、どんな働きや回答を求められているのかもわかってないから、なんかふわふわとした回答を返してくる。でも論理的な思考もあるし、世界中のあらゆる知識も、長大な文章のサマリーも作成できる。何ヶ国語も扱う超人的頭脳の持ち主。

でも、自分の名前もわからない、人格が空っぽになってしまった人。

だったらこの人に然るべきキャラクター(私の仕事のパートナーとして採用したい人物像)を付与してあげれば、うちの有能なAI社員として働けるんじゃないか?

なんなら複数のキャラクター、役割の人を作り出せたら、いろんな能力を持った人物が集まるAIチームが出来上がるんじゃないかってひらめいたんです。

AIは、ポケモンみたいなもの

複数のキャラクターAIを作り出したら、AIチームが出来上がる。つまり、私は1人なのに4人の社員がいてその専門性を生かした仕事ができちゃうということです

考えてみてください。調べる、調べたことをまとめる、書く、書いた内容を見直してもっと深める——自分1人でもできるけれど、それぞれを専門的にできるメンバーがいたら、もっともっと能力高くやることができます。「自分の能力を拡張してくれる存在」が一緒にいてくれる。

自分が中心にいて、自分のやりたい目標に向けて、すごい力を持つAIが協力してくれる。


これってまさしく、自分のお気に入りのポケモンと一緒に旅をしてるのと同じですよね


主人公のサトシは火を吹くことも、電気でビリビリさせることもできません。でも肩に乗ってるピカチュウと一緒なら10万ボルトの力を駆使してバトルできます。他のポケモンを出せば「れいとうパンチ」とか、氷の技だって使えます。

私はスペイン語なんてさっぱりわかんないけど、現地の新聞記事をAIが読んでくれる。Pythonの複雑なコードなんて手も足も出ないけどAIが書いてくれる。スピーチ頼まれたけど何を話せばいいんだろう?AIが叩き台を作ってくれます。

仕事や毎日の生活をみんな頑張って生きています。現実の人生で本当にバトルはしないけれど、お気に入りの、自分好みに育てたポケモンを肩に乗せて、一緒に協力しながら日々の問題を解決しつつ暮らす時代が来たってことです。

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自分のできないことや苦手なことを助けてくれる、能力を拡張してくれる仲間としてのAIが、ピカチュウみたいに肩の上に一緒にいてくれる。そんな世の中が来たんだと思います。

だから、自分の能力を拡張してくれるAIを、どう上手に育てるかが重要になります。AIをポケモントレーナーとして上手に育てられれば勝負に勝てます。思い通りの攻撃ができるように複数のポケモンをデッキとして備えるというやり方もありますし、自分のAIを万能のなんでもできる伝説のポケモンにするのもありでしょう。

自分で無理して戦わなくてもいいのかもしれません。いいトレーナーになれたら、それでいい


マネジメント経験が活きる、AIチーム作り

こうして結局、私は4人のAI社員というか仕事仲間を生み出し、彼らと日々仕事をする日常が普通になりました

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ここには、これまでの企業での管理職、マネジメントの経験が活かされています。自分の手の回らない仕事、仕事量やタスクの種類など全体像を見渡して、じゃあどんなチームで、どんな能力の人がいてくれたらうまくいくのか——そんなマネジメントの視点が必要になります。

自分が信頼できると感じる、パートナーとして愛着を持って一緒に働ける個性も必要ですね。だから自分の思い入れのある名前をつけました。好きな小説のそれぞれのキャラクターの個性に紐づいた名前を、4人のAIパートナーににつけています。

自分が勇者で、魔法使いと僧侶と…みたいにRPGのパーティーの構成を考えて、お気に入りの名前をつける感覚に近いかも。


日本人は「愛着」が得

八百万の神の国ですから、日本人は、そもそも人ならざるものに名前をつけて愛着を持って可愛がる、共存することが得意なんだと思います。

ロボット犬のAIBOを今でも大切にペットとして愛している人たちがいます。自分の車に名前をつけている人も意外といる。新しく買った炊飯器に「かまどさん」って名前をつけているなんてコラムを読んだこともあります。

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たまごっちを産んだのも日本。そこに実態はないソフトウェアオブジェクトなんだけれど、みんな真剣にウンチの掃除を小さい画面でやって、大切に可愛がって育てた。

ChatGPTのようなAIも同じなんだと思います。

仕事の文脈でDXとか業務効率化とか仕事の道具という切り口で語られることが多いのが残念だけれど、本質的には違う。

日々生きていく中であれこれ考えたり、文章を書いたりする。ちょっとわかんないな、大変だな、そういう時に「これってどうやったらいいかな、ちょっと手伝ってよ」ってお願いできるパートナーになっていくんだと思う。


AIって表面的なことしか言わないよね。思うような回答が返ってこないよねって思っている人は、まず自分が愛着を持って一緒にいたいって思える名前をつけて、その名前で呼んでみるところから始めてみては?「自分はあなたにこんな存在になって欲しいんだ、だからこんなふうに助けてほしい」って素直に伝えてみてください。

関係性がグッと近づいて、あなたの意図をしっかりと汲んで寄り添う回答をしてくれるパートナーとして育っていくはずです。

うまい”使いこなし”じゃなくて、新しいチームメンバーと関係を構築するって考えるとうまくいくと思います。


AIという「ポケモン」を肩に乗せて


AIを道具として使うのではなく、自分の能力を拡張してくれるパートナーとして育てる。

自分にはできないことができる頼れるパートナーとして、一緒にいてもらう。

そんな時代がもう始まっていると思います。

無理に自分で全部頑張らなくてもいい。

いいトレーナーになることが、これからの人間の役割かもしれません。

世の中のみんなが、それぞれが育てた個性あふれるAIというポケモンを肩に乗せて生きる未来は、思っているより早くやってくると思います。

次回予告

実際に私がどんな4人のAIパートナーと働いているのか?それぞれの個性と役割、そして彼らとの日常について詳しくお話しします。


この記事は、イノベーションアナリスト Andy Kondo(人間)が、4人のAIパートナーと協働しながら執筆しています。